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書誌情報

論題:垂直統合の理論と農協組織-企業との比較を通して考える-

05.03.01[ 更新10.09.03 ]

タイトル
垂直統合の理論と農協組織-企業との比較を通して考える-
要旨

1 協同組合としての農協は株式会社とは基本的なところで異なるが,組織の姿やその機能の面で,類似した点も少なくない。このため,農協組織の垂直統合の効果について考える場合,企業の統合に関する産業組織論の研究成果を踏まえつつ,農協独自の効果も併せて検討することが有効である。
2 企業の垂直統合メリットとしては,次のようなものが考えられる。
①効率性の追求
①-1技術的に補完的な生産工程の統合
①-2取引費用の削減(機会主義的行動の排除,「部分最適化」の排除,情報の共有と有効活用)
②市場支配力の強化
③市場未成熟期における統合的事業立上げ
しかし一方,①効率化へのインセンティブの低下,②規模の経済が発揮できない場合,③範囲の経済が発揮できない場合,等のデメリットもある。
3 農協組織は,単位農協が基本であり,連合会は補完機能を果たすものである。近年は,農協の水平的合併に加え,県連合会と全国連の統合や1県1農協の出現等,組織の垂直的統合も増えてきた。
4 農協組織の垂直統合効果には,企業の場合の統合効果に通ずるものも多い。効率化へのインセンティブの低下などのデメリットにも留意が必要である。一方,農協独自の統合効果としては,組合員と組織の距離の短縮化,機能分担の見直しを踏まえた組織の再デザイン,食の安全性確保への取組強化などがあげられる。垂直合併は水平的合併と同様,それ自体が目的ではなく,改善の手段である。目的意識をもって統合効果を発揮する取組みが必要である。

刊行年月日
2005年03月01日
著者/
研究者紹介
石田   信隆 (イシダ ノブタカ) :基礎研究部   基礎研究部長 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2005年03月号 第58巻 第3号 通巻709号  2 ~ 14ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2005/03/
第一分野
(大区分):協同組合・組合金融・地域  (詳細区分):農協
キーワード
組織論,垂直統合,農協組織,系統組織,取引費用,組織整備
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0503re1.pdf  78.6KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1711.html