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論題:デフレを取り巻く経済環境の変化

05.11.01[ 更新10.09.03 ]

タイトル
デフレを取り巻く経済環境の変化
要旨

1 かつて,インフレ面では「優等生」との評価がなされていた日本であるが,90年代後半は一般物価の下落状態が発生,いわゆるデフレに陥った。
2 90年代の日本経済が陥ったデフレの原因を巡っては,これまで様々な意見が提示された。基本的には,マクロ的に需給バランスが大幅に緩和したことがデフレを引き起こしたと考えられるが,需要の落ち込みの原因を巡っては,金融面を重視する見方や実物面を重視する見方に分かれている。一方,近隣諸国の工業化に伴う供給増を指摘する意見などもある。
3 デフレに伴う弊害としては,金融緩和政策の下でも実質金利が高止まったことや,実質債務残高が膨張し,付加価値生産の主要セクターである企業部門の債務返済負担が実質的に重くなり,需要が減退したことなどを指摘することができる。
4 VARモデル(ベクトル自己回帰モデル)を推計して,デフレを取り巻く経済変数間の因果性を検定すると,デフレの直接的な要因として景気(需要)の落ち込みの影響が大きいことが分かる。なお,この原因としては,企業部門のバランスシート調整により,雇用・設備投資などへの抑制効果が働いた可能性が高い。
5 2005年内にも消費者物価が前年比プラスに転じるとの見方が強まっている。一方で,消費者物価の前年比マイナス状態からの脱出と「デフレ脱却」は同義ではない。各国中央銀行が物価安定と考えるインフレ率は1~2%程度であり,ある程度の「のりしろ」は許容すべきとの意見も指摘されている。日銀はゼロ金利政策解除時の失敗を反省し,再びデフレ状態に戻ることがないような運営を行うことが求められているのである。

刊行年月日
2005年11月01日
著者/
研究者紹介
南   武志 (ミナミ タケシ) : リサーチ&ソリューション第1部 役員・理事長・顧問・理事研究員 等   理事研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2005年11月号 第58巻 第11号 通巻717号  18 ~ 27ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2005/11/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内経済
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):海外金融
キーワード
デフレ,日銀,金融緩和政策,バランスシート調整,需要不足
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0511re2.pdf  296.0KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1775.html