書誌情報
論題:農協が「創発」するための方策-続・複雑系科学からみた農協-
06.02.01[ 更新10.12.03 ]
- タイトル
- 農協が「創発」するための方策-続・複雑系科学からみた農協-
- 要旨
-
1 農協は,組合員のニーズを満たすために,組合員自らが作り,参画する組織であり,その活性化を図るうえでは,複雑系科学の考え方が参考になる。以下,農協が創発するための方策について,4つの条件を元に検討する。
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2 第一に,農協のなかに強いエネルギーが高まっていることが必要である。実際には,正組合員の減少と高齢化,営農関連事業の縮小等,エネルギーの減少が目に付くが,合併を生かした広域的な組織再編と事業の集約化・専門化,農協間の連携強化により,活性化へのエネルギーを高めることが可能である。
3 第二に,農協のなかにあるエージェント(活動主体)が自立的でなければならない。このためには,上から下へ情報や指示を流す一方通行の運営を改め,双方向の情報の流れを生み出すことや,研修・リーダー育成等が必要である。
4 第三に,農協内のエージェントが活発に相互作用をすることが必要である。そのためには,農協の運営において上意下達的な色彩を排すること,事業間や各組織間の情報移転を活発にし,それらの情報が適切に活用される仕組みを作ることが望ましい。また,農協の役職員や連合会職員は,これらの相互作用を促進する「触媒」(カタリスト)として機能すべきである。
5 第四に,協同組合らしい農協となるためには,農協の理念・ビジョン・計画に裏打ちされた「ゆるやかな秩序」で支配されつつ,それぞれのエージェントが活発に相互作用を行うよう条件整備を行うべきである。
6 これらの取組みは,「要素還元主義」的な考え方に基づく組織再編や事業改革と矛盾するものではない。両者あいまって,組合員に強く支持される農協に脱皮することができよう。 - 刊行年月日
- 2006年02月01日
- 著者/
研究者紹介 -
石田 信隆 (イシダ ノブタカ) :基礎研究部 基礎研究部長 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2006年02月号 第59巻 第2号 通巻720号 17 ~ 29ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):農協
- キーワード
- 組織論,創発,農協改革,JA改革,複雑系,協同活動
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1799.html