書誌情報
論題:米国クレジットユニオンの個人ローン戦略-経営理念に強く結びついたサービス展開-
07.02.01[ 更新10.06.18 ]
- タイトル
- 米国クレジットユニオンの個人ローン戦略-経営理念に強く結びついたサービス展開-
- 要旨
-
1 米国には,クレジットユニオン(以下「CU」)と呼ばれる協同組織の金融機関が9,000近
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く存在し,金融業界において独特な存在意義を示している。CUは,組合員のニーズに応
えることを唯一の目的として組織され,その組合員はコモンボンドと呼ばれる職域,協会,
地域といった共通の基盤(絆)
きずな
でつながれた人たちで構成されている。
2 CUは,ばらつきはあるものの,概して規模が小さく,CUにFDIC保険対象の商業銀行
と貯蓄金融機関を加えた全米の金融機関に占める総資産額ベースでのシェアは6%に満た
ない。一方,全米のCU組合員数は,過去から継続的に増えており,現在では8,800万人に
達する。これは全米人口の3割に匹敵し,いかにCUが米国の社会に根づいているかを示
す数字である。
3 CUの主要業務は個人である組合員に対する各種のローンの取扱いであり,新車・中古
の自動車ローン,住宅ローン,セカンドモーゲージローンを中心に業務を展開している。
こうした各種ローンのうち,特に近年伸びているのは,住宅ローンとセカンドモーゲージ
ローンであり,これらが01年ごろからのローン全体の伸びを牽引した。
4 CUのローン戦略をはじめとする業務展開の基礎となっているのが,伝統的に息づく
「Not for Profit, Not for Charity, But for Service」という言葉に現れた理念である。
業容拡大のためのセールスではなく,あくまでも顧客のニーズに沿ったサービス提供が基
本とされ,金融教育を伴う営業活動などにその独自性を発揮し,他業態に比べて高い顧客
満足度を長年維持している。一方で,相互代理店のシステムや,インターネットバンキン
グなどによるチャネルの多様化などが効率性をもたらしており,顧客サービス第一の強固
な理念の堅持と,その時点での最善の方法を採るという変化対応の姿勢が,CUの成功の
カギになっていると考えられる。 - 刊行年月日
- 2007年02月01日
- 著者/
研究者紹介 -
橘髙 研二 (キッタカ ケンジ) - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2007年02月号 第60巻 第2号 通巻732号 13 ~ 25ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):海外金融
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1896.html