書誌情報
論題:東アジア共同体構想と農業
07.06.01[ 更新10.09.03 ]
- タイトル
- 東アジア共同体構想と農業
- 要旨
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1 東アジア地域では,FTAなどの経済連携が盛んになっている。そのなかで大きな役割を果たしているのがASEANである。ASEANは域内で関税を引き下げるAFTAを推進しており,また,ASEANと日中韓3国,さらにはその他の国・地域との連携が進んでいる。
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2 東アジアの経済は域内分業と輸出産業の発展,域内における市場の形成により,相互の結びつきを強めつつ発展している。これを反映し,この地域の貿易は,近年,「駆け出した」と形容してよいような急速な変化を遂げつつある。ASEAN+3でみてもASEANでみても,貿易の急拡大が見られ,域内貿易も高い水準にある。AFTAの形成および,ASEANと日中韓3国が進めているFTAが実施されていけば,このような動きはさらに加速されていこう。
3 東アジア地域をめぐっては,「東アジア共同体」などの地域構想が提唱されている。しかし,その範囲はASEAN+3から,それにオーストラリア,ニュージーランド,インド
も含むものなどさまざまである。わが国が地域構想を考えるにあたっては,分業や投資等で結びつきつつある経済実態や歴史的つながり等を考えると,まず東アジア地域での戦略的対応を中心に置くべきである。
4 FTAや共同体形成のためにはまずわが国の農業の市場開放が必要,という議論は,わが国の食料自給率の低さ,将来の食料需給の逼迫と農業生産の不可逆性から考えると目先しか見ない議論であり,適切な国境措置は今後とも必要である。農業以外にも,人の移動や環境問題など,市場原理だけで律することのできない重要な問題は多い。これらについての相互理解と協力関係を進めることが,東アジアにおける共同体等のより高いレベルの地域構想具体化の基礎になろう。 - 刊行年月日
- 2007年06月01日
- 著者/
研究者紹介 -
石田 信隆 (イシダ ノブタカ) : 理事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2007年06月号 第60巻 第6号 通巻736号 40 ~ 52ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):海外農業
- 第二分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):国内農業
- キーワード
- 東アジア共同体,FTA,経済連携,ASEAN,貿易,農産物貿易
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1926.html