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書誌情報

論題:中国農村金融自由化の背景と可能性-農村活性化のカギを握る資金供給の拡大-

08.04.01[ 更新10.09.06 ]

タイトル
中国農村金融自由化の背景と可能性-農村活性化のカギを握る資金供給の拡大-
要旨

1 中国の農村地域では正規の金融機関からの資金供給が不足し,農家の資金需要の過半が非正規の民間金融によって賄われている。また,正規の金融機関からの資金供給は農村信用社(農信社)がほぼ独占しており,さらにこの農信社の融資は約3割の農家に集中している。
2 こうした状況をもたらした主因の一つは,農信社の改革という単一のモデルで農村金融問題を解決しようという当局のこれまでの指導方針にあった。農信社が成功すれば農村金融の改革は成功するという考え方が強く,新規参入の促進等,多様化の発想は薄かった。
3 これまでの農村金融改革への反省に立って,2006年末,中国は農村金融市場をすべての資本とすべての金融機関に開放するという過去最大の歴史的な政策転換を行い,「村鎮銀行」「農村資金互助社」「ノンバンク」という3種類の新型農村金融機関の設立テストが認められることになった。08年1月末時点,新型農村金融機関は31社設立され,うち村鎮銀行が20で,07年12月に設立された「HSBC村鎮銀行」が外資系村鎮銀行の初参入となった。
4 新型農村金融機関の成果は大きく言って「自由化の促進」「農村への資金環流」「競争による刺激」の3点が指摘できる。そのうち特に「歴史的突破」を実現した今回の農村金融の自由化改革のテストは,農村金融市場に競争原理を持ち込んだことの意味が大きい。
5 同時に,新型農村金融機関は多くの問題にも直面している。預金が思うように集められずに収益構造が確立できていないことが最大の問題である。これは預金保険機構がまだ存在せず村鎮銀行や資金互助組は信用力が不足しているからである。また,既存の商業銀行の参加がなければ村鎮銀行やノンバンクの設立ができないことが象徴するように参入規制が依然として高い。さらに,農村金融が抱えている自然災害リスクや農家の担保力不足等を補完する環境が整備されていない。
6 中国政府の進める農村金融の自由化の方向性は正しいが,それが実際に機能し,効果を発揮するためには,参入ハードルの更なる引下げとともに,新規参入者を含めて農村地域の金融機関が持続的に農業へ融資するインセンティブが働くような預金保険や自然災害保険,信用保証保険などの信用補完制度の構築が欠かせない。さらに零細な農家の状況が今後も継続されるなか,協同組合的な金融組織の発展を一層促進することが必要とされる。

刊行年月日
2008年04月01日
著者/
研究者紹介
阮   蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) 役員・理事長・顧問・理事研究員 等 リサーチ&ソリューション第1部   理事研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2008年04月号 第61巻 第4号 通巻746号  16 ~ 29ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2008/04/
第一分野
(大区分):協同組合・組合金融・地域  (詳細区分):海外協同組織金融機関
キーワード
中国,農村金融,村鎮銀行,資金互助組,農村信用社,自由化
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0804re2.pdf  94.4KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2005.html