書誌情報
論題:米緊急対策以降のコメ政策の動向-備蓄運営を中心に-
09.03.01[ 更新10.09.06 ]
- タイトル
- 米緊急対策以降のコメ政策の動向-備蓄運営を中心に-
- 要旨
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本稿は,07年秋以降のコメ政策に関する施策の動きをフォローしたうえで,政府買入に関わる,政府の備蓄運営に焦点をあてて動向を整理したものである。
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コメ政策は,2007年度より米政策改革の第二ステージとして「農業者・農業者団体の主体的な需給調整システム」への移行・定着を目指して施策が展開されてきた。しかし,07年7月の参議院選挙の結果や,平成19年産の米価下落等を背景に07年10月に米緊急対策が打ち出され,07年秋以降コメ政策における施策の運用の見直しが行われている。
その特徴は,第一に食糧法では不足の状態に備えた備蓄運営のために行うこととされている政府買入を,事実上価格支持のために用いたことである。第二には,生産調整のコントロールの強化や未達成に対するペナルティの示唆等,生産調整の実効性確保のために強制力を強めた手法が用いられていることである。
食糧法では、備蓄は不足の事態に備えた消費者政策として位置づけられており、政府買入は備蓄運営に限定されている。しかし、04年以降、米緊急対策が打ち出されるまでは不足に備えるために適正とされる数量を下回る抑制した運用がなされ、一方で、07年秋以降では政府買入が事実上の価格維持のための政策手段として、また、本来の施策の趣旨とは異なる形で行われている。備蓄運営において、政府米の買入・販売に関するルールが明確ではないことが、政府買入による価格維持の期待や本来の趣旨と異なる運用にもつながっているとみられる。
100万トンの在庫の保有を基本とする政府の備蓄米の運用が市場に与えるインパクトは小さなものではない。また、市場に影響を与える政策・規制にあっては、その運用において、透明性、予測可能性が重要とされる。備蓄運営についても、その目的の明確化、透明性、予測可能性の確保された運用ルールの構築が求められる。
- 刊行年月日
- 2009年03月01日
- 著者/
研究者紹介 -
小針 美和 (コバリ ミワ) :調査第一部 研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2009年03月号 第62巻 第3号 通巻757号 52 ~ 57ページ - 掲載コーナー
- 情勢
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):国内農業
- 第二分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):農協
- キーワード
- 米緊急対策,政府買入,備蓄,過剰,在庫,生産調整
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2088.html