農林中金総合研究所

2011年6月の家計の金融資産は、流動性預貯金を中心に増加した。これには①東日本大震災後の消費の抑制、②資産選択におけるリスク回避の動き、③被災県での保険金等の受け取りの影響が考えられる。農協の個人貯金は震災後の上昇度合いが大きいが、これは被災県での共済金の受け取りが大きく寄与しているためとみられる。農協貸出金は、2010年9月以降は減少傾向にある。その要因としては、これまで増加の牽引役であった住宅ローンの勢いが鈍り、県市町村・公社公団貸付がは前年と比べ減少したことが挙げられる。農協を含めた民間金融機関の住宅ローンは、住宅金融支援機構のフラット35Sの金利引下げ幅拡大による残高急増の影響を大きく受けた。また、農協の地公体貸付の減少は、地公体の財政健全化への取り組みや、法人向け貸出が伸び悩むなかで他業態が地公体向け貸出に積極的に取り組んでいるとみられること等の影響を受けた。