書誌情報
論題:低質国産材の利用拡大を進める近年の林業政策とその課題─森林資源の再造成をどうするのか─
17.06.01[ 更新17.06.05 ]
- タイトル
- 低質国産材の利用拡大を進める近年の林業政策とその課題─森林資源の再造成をどうするのか─
- 要旨
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わが国の国産材の供給量(利用量)は増加傾向にある。その要因の一つに,政府の林業政策が国産材新流通・加工システム(2004~06年度)や新生産システム(06~10年度),森林・林業再生プラン(09年)などによって国産材の安定供給体制の構築と大規模加工場による大量生産体制の整備を進めてきたことが挙げられる。一方,今後予想される住宅着工の減少は,国産材の供給量と利用量に影響を与える可能性がある。
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本稿は,新たな森林・林業基本計画における木材供給量(利用量)の目標値と木材利用量の将来推計を比較することで,今後の木材利用拡大に向けた取組みの課題を検討する。
本推計によると,基本計画と比べて国産材利用量の増加幅は3 分の1 にとどまると予測される。その要因は,大規模建築物の木造化等の「新たな木材需要の創出」による政策効果が限定的と見込まれるためである。また,燃料材輸入の大幅増が見込まれるため自給率はほとんど上昇しない可能性がある。国産材の利用量増加は主に合板や燃料向けの低質材によるものであり,低材価は林業経営を圧迫して主伐・間伐面積が減り,森林資源の再造成がさらに先送りされる可能性がある。低コスト林業や木材の価値を高めるための取組みや樹種の多様化と森林の多面的利用の促進が必要である。 - 刊行年月日
- 2017年06月01日
- 著者/
研究者紹介 -
安藤 範親 (アンドウ ノリチカ) : リサーチ&ソリューション第2部 主任研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2017年06月号 第70巻 第6号 通巻856号 2 ~ 15ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):林業
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/6371.html