書誌情報
論題:個人リテール金融の最近の動向と注目点
17.12.29[ 更新17.12.29 ]
- タイトル
- 個人リテール金融の最近の動向と注目点
- 要旨
-
家計の金融資産は2017年6 月末現在で1,832兆円と史上最高の水準にある。とくに,株式等,投資信託の大幅増加が影響しているが,それは主に評価額の上昇による。「貯蓄から投資へ」の動きはいまだ緩慢で,金融当局は,個人型確定拠出年金制度の拡充や積立NISAの導入等,個人の長期,積立,分散投資を促す制度の整備を進めている。一方,家計の金融負債は,これまで高かった貸家向けローンの伸びが鈍化し,消費者信用残高の伸びにも陰りがみられる。
VIEW MORE CLOSE
また,金融機関の収支状況をみると,量的緩和やマイナス金利の導入で,資金収支の減少が続く一方,手数料等役務取引等利益のウエイトは低いままである。
日本銀行「金融システムレポート」では,金融機関の収益性の低さの背景として,激しい預金獲得競争と,それに伴う店舗・人員のオーバーキャパシティ等を指摘する。そして,金融機関は新しいビジネスモデルへの転換が必要とし,具体的には,収益源の多角化や店舗・人員の再配置等の取組みを示唆する。ただし,金融庁の示す個人の資産形成ニーズへの対応を含め,「新しいビジネスモデル」は,個人利用者のリスクやコスト増,利便性低下を招く可能性もあり,いわゆる「金融弱者」「金融難民」を生まないよう,また「利用者保護」に配慮した取組みとすることが必要であろう。 - 刊行年月日
- 2018年01月01日
- 著者/
研究者紹介 -
内田 多喜生 (ウチダ タキオ) :調査第一部 調査第一部長 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2018年01月号 第71巻 第1号 通巻863号 13 ~ 26ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/6950.html