農林中金総合研究所

日本では金融機関の店舗数が減少しており、交通手段がなかったり情報通信機器をうまく利用できなかったりする高齢層を中心に、金融機関の商品やサービスへのアクセスが困難になる人が増えることが懸念される。
これに対して、農協では移動店舗を導入したり、スマートフォン教室を開催したりする動きが進んでいる。移動店舗は、通常の店舗からの距離が遠い地域での金融サービスへのアクセス確保に貢献しているだけでなく、自然災害等の非常事態時にも役割を発揮するようになってきている。また、農協によっては、移動店舗の停留所が人々の交流の場になっているケースもある。高齢層がデジタルチャネルを活用できるようになるためにはサポートが重要であり、スマートフォン教室はその支援策になりうる。これらの取組みは、金融包摂だけでなく、より広く社会的包摂にも貢献できる可能性がある。