農林中金総合研究所

コロナ禍からの需要急回復に対して、傷ついた供給面の再構築が追い付かなかったため、2021年以降、世界的にインフレが加速した。同時に、原油、穀物など国際商品市況も上昇圧力を高めたが、ロシアによるウクライナ軍事侵攻がそれに拍車をかけた。こうした状況を受けて、主要国の中央銀行はコロナ対応の大胆な金融緩和を終了し、大幅利上げや資産圧縮を本格化させている。一方、日本でもウィズコロナへの移行が推進されたものの、コロナ感染と消費動向とのリンクを断ち切ることができず、本格的な回復は未実現である。また、主に輸入インフレによって約40年ぶりの物価上昇率が発生しているが、日銀が大規模緩和を続けたことから、円安圧力が高まる場面もあり、さらなる物価押し上げにつながった。
23年の日本経済を展望すると、これまでの利上げの累積効果によって世界経済は失速することが見込まれるほか、物価高が消費回復を阻害するとみられることから、年前半にかけてマイナス成長に陥ると予想される。