書誌情報
論題:林地取引の実態と森林組合に求められる役割に関する考察
24.02.29[ 更新24.02.28 ]
- タイトル
- 林地取引の実態と森林組合に求められる役割に関する考察
- 要旨
-
森林組合は、地域森林管理の主要な担い手であり、その事業の一つに林地取引の仲介がある。本稿は、全国の林地取引の実態について統計データから把握したうえで、森林組合における林地取引について統計データ及びアンケート・聞き取り調査から明らかにする。そして、森林組合の林地取引に求められる役割とその課題を考察する。
VIEW MORE CLOSE
まず、全国の林地取引件数及び面積は増加傾向にあり、林地取引が活発化していることが確認できる。森林組合においては、林地供給事業、森林経営事業の取組みについて活発化は確認できないものの、森林を所有する森林組合数及び所有林面積は増加傾向にある。なお、アンケートからは、森林組合員による売却・購入引き合いの問合せが増加傾向にあることが確認された。さらに、聞き取り調査からは、林地取引が増加した背景として、土地付き立木買いを素材生産事業体に依頼する林地所有者が増えていること、これに対し、素材生産事業体も応じていることなどが明らかになった。
今後、林地所有者の多くが20年程度で平均寿命に達することから、相続を機会に林地流動化が一段と進む可能性がある。また、各地で製材工場建設や生産設備増強の動きがあり、国産材需要の増加が期待されることから、素材生産事業体による土地付き立木買いは、地域差を伴いながらも更に拡大する可能性が示唆される。これら事業体が新たな森林所有者となれば、森林組合の構成員に変化が生じるものと考えられる。このような変化を受けて、森林組合は、共同での機械・資材調達や集出荷を模索する、森林組合や森林組合連合会等の関係組織が主体となって林地所有の受け皿を用意するといった点について検討することも必要であろう。 - 刊行年月日
- 2024年03月01日
- 著者/
研究者紹介 -
多田 忠義 (タダ タダヨシ) :リサーチ&ソリューション第2部 主事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2024年03月号 第77巻 第3号 通巻937号 24 ~ 41ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):林業
- キーワード
- 林地流動化,林地供給事業,森林経営事業,森林組合
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/9578.html