書誌情報
論題:漁業・漁村体験が高校生に与える教育的効果および心理的影響―三重県二木島スタディツアーに参加した高校生を対象として―
25.06.02[ 更新25.05.28 ]
- タイトル
- 漁業・漁村体験が高校生に与える教育的効果および心理的影響―三重県二木島スタディツアーに参加した高校生を対象として―
- 要旨
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本稿は、三重県熊野市二木島町での漁業・漁村体験スタディツアーに参加した高校生を対象に、体験活動が「生きる力」やパーソナリティ特性に与える影響を実証的に検証することを目的とした。近年、学習指導要領では「持続可能な社会の担い手」の育成が掲げられ、多様な学びの手法においては「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的充実が目指されており、体験活動はその理念の実現と具体的な教育手法の2つの視点で実現に重要な役割を果たしている。また、「海業」の一環として漁業・漁村体験が注目されているが、その教育的効果に関する研究は少ない。
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調査は2泊3日のスタディツアーに参加した高校生34名を対象に、IKR評定用紙(簡易版)、TIPI-J、自由記述式質問紙を用いて体験前後の変化を測定した。分析の結果、IKRでは「積極性」「視野・判断」「自己規制」「身体的能力」、TIPI-Jでは「誠実性」と「開放性」において有意な向上が確認された。自由記述からは、抽象的な期待から具体的な行動意識への移行、環境・社会問題への理解深化、個人的関心から地域社会への関心拡大が観察された。
これらの結果は、漁業・漁村体験が高校生の多面的な能力開発に効果的であり、学習指導要領が目指す教育目標の実現や海業の推進に寄与することを示唆している。一方で、特定のプログラムに限定されていること、短期的効果のみの検証であることなどの限界も存在する。今後は異なる地域での比較研究や長期的効果の検証が課題である。 - 刊行年月日
- 2025年06月01日
- 著者/
研究者紹介 -
尾中 謙治 (オナカ ケンジ) :リサーチ&ソリューション第1部 主任研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2025年06月号 第78巻 第6号 通巻952号 16 ~ 28ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):農村漁村
- キーワード
- スタディツアー,海業,漁業体験
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/9917.html