書誌情報
論題:漁協における学校向け漁業体験・教育の現状と実現にあたっての4つの関門
25.04.30[ 更新25.04.28 ]
- タイトル
- 漁協における学校向け漁業体験・教育の現状と実現にあたっての4つの関門
- 要旨
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本稿は、漁協における学校向け漁業体験・教育の現状と実現にあたっての課題を分析したものである。2022年の水産基本計画および漁港漁場整備長期計画において、海業(うみぎょう)の振興が位置づけられた。その海業のひとつの類型である漁業体験・教育は、漁協が実施するにあたって追加コストが比較的少なく取り組みやすい事業といえる。
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また、学習指導要領改訂により、学校教育において体験型学習や探究型プログラムへの期待が高まるなか、漁業体験・教育へのニーズも高まることが想定される。漁協にとっても、地元水産物のPRや食育の推進、漁業後継者の育成など、多面的な効果が期待できる事業と位置づけられる。
しかし、漁協が新たな事業として漁業体験・教育に着手することは、取組みへの不安や抵抗、経営資源の不足によって容易ではない。特に「意識の壁」「着手の谷」「離陸の風」「ダーウィンの海」という4つの関門が存在する。4つの漁協の事例分析から、これらの関門を克服するために、①新規投資の負担を減らすこと、②漁業体験・教育の実施に対する漁協内での理解と協力を得ること、③組合員などからの協力を得ること、④プロモーション(広報・宣伝)や事務処理の一部を外部組織・団体に任せること、⑤行政や誘致団体と連携・協力すること、⑥他地域と差別化できる要因の活用もしくはそれを作り出すことが重要であることが明らかになった。
漁協は漁村において海業を展開する「正統性」や「納得性」を有している。漁協は4つの関門を克服し、漁業体験・教育を足がかりとして海業を推進することが期待される。 - 刊行年月日
- 2025年05月01日
- 著者/
研究者紹介 -
尾中 謙治 (オナカ ケンジ) :リサーチ&ソリューション第1部 主任研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2025年05月号 第78巻 第5号 通巻951号 22 ~ 35ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):漁協
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/9888.html