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書誌情報

論題:中国農家の資金需要と農村金融の体制-農業生産資金の需要とフォーマル金融機関の問題を中心に-

00.11.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
中国農家の資金需要と農村金融の体制-農業生産資金の需要とフォーマル金融機関の問題を中心に-
要旨

1.近年,中国農業の生産構造は量から質へ,低付加価値のものから高付加価値のものへと転換しつつある。この構造転換に伴い,農家の施設資金や運転資金の需要が増えている。しかし,農家の貯蓄は様々な要因によりまだ低い水準にあるため,自己資金で賄えない不足の部分は外から借り入れる必要がある。
2.では,農家はどこから借入しているのか。中国では,農村金融を担うフォーマルな金融機関は,農業発展銀行,農業銀行と農村信用社の3機関あるが,現実には農家の借入の6割以上は親戚・友人及び高利貸しなどの民間金融に頼っている。これは中国の農村金融体制そのものに問題があることを示唆している。
3.まず,政策銀行である農業発展銀行は国有食糧企業などに穀物・綿花等の買付・備蓄・加工資金を融資するだけの買付銀行であり,農家への政策的融資はほとんど行っていない。次に,農業銀行はインテグレーション等への融資強化と商業化の動きが今後も加速すると見込まれ,そもそも農家の零細資金需要に対応すること自体にはもともと無理があったといえる。
4.そこで,約50年前に農家の協同組合として広範な農村地域に発足した農村信用社は,農家の零細資金需要に対応する唯一のフォーマルな金融機関となる。しかし,高い資金調達コスト,大量の不良債権,難題を抱える資金過不足の調整など,経営上・制度上の理由により,中央銀行の特融で農家への融資を増やした98年まで,農村信用社は農家より郷鎮企業への融資に傾斜していた。
5.農村金融の改革方向を左右する農村信用社は多様な改革の様相を呈している。例えば,沿海等の高成長地域では,協同組合への復帰より農村の大口資金需要者を対象とする地域金融機関に発展していくことが予想され,2000年8月に「1県1農村信用社」の改革が既に始まった。零細な農家の資金需要にどう対応していくのかの課題が依然として残るが,農村での預金・貸出金利の規制緩和に加えて,現存する銭庄や農村合作基金会等の民間金融機関に対しても,その否定ではなく,その活用の方法を検討する必要があるのではなかろうか。

刊行年月日
2000年11月01日
著者/
研究者紹介
阮   蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) 役員・理事長・顧問・理事研究員 等 リサーチ&ソリューション第1部   理事研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2000年11月号 第53巻 第11号 通巻657号  63 ~ 81ページ
掲載コーナー
外国事情
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2000/11/
第一分野
(大区分):協同組合・組合金融・地域  (詳細区分):海外協同組織金融機関
キーワード
中国農村金融,農家の資金需要,フォーマル金融,農業発展銀行,農業銀行,農村信用社
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0011abr.pdf  163.1KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1321.html