農林中金総合研究所

21世紀に入り、EU加盟国の協同組合税制がEU競争法との関係で攻撃されている。攻撃の対象の分野、協同組合の種類は異なるが、いずれもEU競争法で禁止する国家補助にあたるとして、協同組合に対する租税制度が争点になっている点で共通する。イタリアの裁判所に係属中の事案については、欧州司法裁判所（ECJ）の見解が示され、EU加盟国ではないもののEEA協定を通じEUとルールを共有するEFTA加盟国のノルウェイの同様の事案では、EFTA監視機関の決定が下されている。
　いずれも協同組合税制自体が否定されているわけではないが，EFTA監視機関の判断とECJの見解とでは、基本的な点での違いが認められ，イタリアの破棄院がECJの見解（判決）を踏まえどのような最終的判断を下すかが注目される。