書誌情報
論題:中国の野菜農政と野菜輸出-高まる野菜生産と輸出の重要性-
01.06.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- 中国の野菜農政と野菜輸出-高まる野菜生産と輸出の重要性-
- 要旨
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1 中国の野菜輸出は,2000年までの20年間に年間平均12.7%の高い伸びを記録した。特に,近年生鮮野菜の輸出増が突出している。野菜の輸出先は,80年代までは,香港や東南アジアが最大の輸出先であったが,90年代前半ごろから日本は中国の最大の輸出先として定着するようになった。
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2.野菜輸出急増の要因は,主として,国内農政の変化による野菜作付けの拡大,豊富な労働力と安い労賃,日系等企業の開発輸入,この開発輸入の拡大につながる積極的な外資導入政策,道路や港湾・低温管理する物流の仕組み等インフラの整備,及び生鮮野菜の輸出単価の下落などである。
3.中国農政における野菜の地位は,「食糧をかなめとする」1950~80年代初頭までの時期は副次的なものでしかなかったが,80年代からの経済発展とともにその重要性が高まってきた。背景には,所得の上昇に伴う多種多様な野菜需要の増加,換金性の高い野菜の生産による農家の所得増など,が考えられる。
4.90年代後半以降,野菜の供給は量的に全面的に過剰になり,売手市場から買手市場に転換し,野菜の価格は低下傾向をたどっている。今後の野菜生産は単純な量的拡大ではなく,市場指向に基づいて,品質と効率の向上,生産構造調整等による商品差別化,ブランド化などを通して,競争力を高めていかざるを得ない。
5 総輸出額に占める農産物,野菜輸出のウェイトは,2000年にそれぞれ80年の17.2%,0.8%から6%,0.6%へと下落した。単純な国家貿易の立場から,農産物貿易の重要性が低下しているといえる。しかし,今後,農業構造調整のスムーズな促進と農業雇用先の確保などの視点から,野菜など労働集約的農産物の輸出を促進することは,これまで以上に重要性を持つ。 - 刊行年月日
- 2001年06月01日
- 著者/
研究者紹介 -
阮 蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) :調査第二部 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2001年06月号 第54巻 第6号 通巻664号 27 ~ 43ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):海外農業
- キーワード
- 中国,野菜輸出,野菜農政,農業構造調整
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1362.html