書誌情報
論題:農協組合員の相続の増加と農協金融への影響
03.05.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- 農協組合員の相続の増加と農協金融への影響
- 要旨
-
1 農家,組合員の高齢化と世代交代が進んでおり,今後相続が増加すると,遺産分割等により組合員資産が分散し,農協貯金にも大きな影響が出るのではないかと懸念されている。
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2 本稿は,①今後,組合員の相続が農協貯金にどの程度の影響を与えるか,②過去にも相続による貯金の大幅流出が懸念されたが,結果的に貯金が伸び続けてきた理由は何か,の二つの課題について,相続による農協貯金の流出額の試算を行い,その影響について考察した。
3 試算は,正組合員世帯の世帯主,妻の年齢別数に平均死亡率を乗じ,60歳以上の男女の毎年の死亡者数を算出。これに家族構成別に算出した相続による貯金の流出割合と,農家世帯の平均農協貯金額を乗じて,毎年の貯金流出額を算出した。
4 貯金流出額は,1986~95年まで増加が続き,その後6,500億円程度で横ばい傾向となり,2000年ごろから再び緩やかに増加し,2015~20年ごろのピーク時には9,000億円に近づくとみられる。試算した貯金流出額を農協貯金残高で除すると,86~02年まで1%程度で推移し,02年以降も1%前後となり,貯金の増減率に対する1ポイント程度の引下げ要因となっている。
5 過去,相続による貯金流出の懸念にもかかわらず貯金が伸び続けた理由は,経済成長の影響による農家所得,農家余剰等の増加で,農協貯金が高い水準で伸びたこと,高齢者の死亡率が毎年低下し,相続の発生の分散化が進んだこと,准組合員貯金が増えたこと等があげられる。
6 高齢者の長寿化と農協貯金量の増大化の影響で,今後も相続による貯金流出はゆっくり進み,すぐには大きな影響は現れないとみられるが,農協貯金の増減率が1%を切ってきており,相続による貯金流出の1%が重い足かせになってくると思われる。これまで取り組んできた相続対策,次世代対策の強化とともに,広く地域住民も含めた利用者基盤の立て直しが重要となっている。 - 刊行年月日
- 2003年05月01日
- 著者/
研究者紹介 -
本田 敏裕 (ホンダ トシヒロ) : リサーチ&ソリューション第2部 専任研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2003年05月号 第56巻 第5号 通巻687号 38 ~ 47ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):農協信用事業
- キーワード
- 農家経済,個人金融,農協貯金,農協貸出金,相続
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1539.html