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書誌情報

論題:米国クレジット・ユニオンの経営戦略-協同組織金融機関の優位性-

04.04.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
米国クレジット・ユニオンの経営戦略-協同組織金融機関の優位性-
要旨

クレジット・ユニオン(以下「CU」)は,協同組織形態の金融機関であり,組合員を対象とした預金,貸出を主体に行うリテール金融機関である。CUに加入する個人は,コモン・ボンド(共通の絆)という所属団体要件を満たさなければならない。CUは,株式会社のように株主に対する高い配当を追求する必要がない。つまりすべての経営資源を組合員サービス向上に振り向けること,あるいは,より高い預金金利,低い貸出金利・手数料率という形で組合員に利益を還元することができる。組織として進むべき方向を組合員の福利向上という一つに絞れることが,CUの強みである。米国のいくつかの大手銀行は,店舗リストラを進める一方で,各種手数料の適用範囲を拡大することで顧客選別指向を強めた。CUは,銀行に対する不満を募らせた地域住民を組合員として受け入れることで,その基盤を拡大していった。CUは発足当初から現在に至るまで,一貫して銀行とは違う個性を発揮しようとした。以前は銀行が前向きに取り扱わない小口生活ローンを中心に対応した。最近ではメインバンクとなることを目標に,組合員のCU利用度を高める努力をしている。単に料率だけで銀行と勝負するのではなく,組合員と徹底的に向き合い確かな信頼関係を築き,対話を重視し,ニーズに基づいたオーダーメード商品・サービスを提供するというCUらしさを打ち出している。また組合員のアクセス・チャネルとしては,店舗とテクノロジー(インターネット等)の双方を重視しており,組合員の嗜好も勘案しつつ,店舗配置の拡散性に伴う不便を最小化するようなバランスと工夫に気を配っている。CUが常に独特の存在であり続けるためには,組合員ニーズの発生や変化を丁寧に追い,これに継続的かつ様々なアプローチで応え,彼らの生活を向上させること,またその活動を通じて社会に貢献することが必要である。そのためには,商品・サービスの不断の改良に加え,業務のやり方についても継続的かつ木目細かな調整が必要となる。絶え間なく変化していく情勢を敏感にキャッチするアンテナと,それに対応していける柔軟性が常に求められている。

刊行年月日
2004年04月01日
著者/
研究者紹介
永井   敏彦 (ナガイ トシヒコ) :調査第二部   主任研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2004年04月号 第57巻 第4号 通巻698号  20 ~ 34ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2004/04/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):海外金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):海外経済
キーワード
クレジット・ユニオン,協同組織,組合員
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0404re2.pdf  137.6KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1624.html