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書誌情報

論題:米国産トウモロコシの日本向け輸出の物流と価格構成-流通コスト上昇がもたらした状況変化-

07.02.01[ 更新10.09.03 ]

タイトル
米国産トウモロコシの日本向け輸出の物流と価格構成-流通コスト上昇がもたらした状況変化-
要旨

1 日本は年間約1,600万トンのトウモロコシを米国から輸入しているが,その物流ルートは二通りある。一つは「中西部の生産地→艀でニューオリンズ港→パナマ運河→日本」という水路物流経路で,日本向け輸出のほとんどはこのルートで運ばれている。もう一つは「生産地→鉄道で西海岸→太平洋→日本」という陸路物流経路で,日本への海上輸送距離が短いことなどから近年その役割が増大している。
2 日本の対米トウモロコシ輸入価格は大きく分けると,穀物の価格にあたるシカゴ先物価格と米国内輸送及び海上輸送等流通コストに相当するべーシスの二部分からなる。実際の取引は,トウモロコシの価格変動リスクがシカゴ先物市場でヘッジされながら,ベーシスの取引によって行われる。つまり,シカゴ先物部分(穀物価格)の価格変動リスクは回避できる仕組みとなっている。これは,価格変動の激しい穀物取引が円滑に行われるための最も基礎的な保障である。ただし,相場商品でありながらベーシスについてはその変動リスクを回避する手段は基本的に存在しない。
3 日本の輸入価格は,この6年間で約70%上昇した。最大の要因は日米間の海上運賃および米国内艀/鉄道運賃という流通コストの上昇である。その結果,輸入価格に占める流通コストの構成比は,この2年間で5割近くに達した。一方,流通コストの上昇分の一部は実質的に生産者が負担している面があり,生産者価格の低迷時にはこれらが農業補助金によって補われている。日本の対米輸入は,その生産状況とともに,中国要因などによる海上運賃の動き,米国の肥料・鉄鉱等の輸入増などによる米国内流通コストの動きにも注目する必要性が高まった。
5 穀物輸出の米国サイドの最大の担い手は,穀物メジャーという生産者と消費者を世界的規模で結びつける大規模な穀物流通業者である。米国における穀物輸出競争力の優位性はその集荷能力,保管及び船積能力などによって決められるが,穀物メジャーのうち,特にカーギルとADM2社の取り扱い能力と市場シェアは近年急速に拡大している。今後,世界の穀物貿易はこの2社が主導権を強める可能性がある。
6 06年秋以降,シカゴ市場のトウモロコシ相場は10年ぶりの高値水準となった。今後生産者価格,流通コストともに高水準が続けば,トウモロコシ輸入価格の長期的上昇と日本の飼料,畜産物生産コストへの影響は避けられない。

刊行年月日
2007年02月01日
著者/
研究者紹介
阮   蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) 役員・理事長・顧問・理事研究員 等 リサーチ&ソリューション第1部   理事研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2007年02月号 第60巻 第2号 通巻732号  29 ~ 42ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2007/02/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):海外農業
キーワード
アメリカ,トウモロコシ,対日輸出,物流,海上輸送,穀物メジャー
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0702re3.pdf  149.9KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1895.html