書誌情報
論題:人口減少と経済成長
07.08.01[ 更新10.09.03 ]
- タイトル
- 人口減少と経済成長
- 要旨
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1 少子化問題が国民的な関心事となったのは1989年の1.57ショック以降であるが,合計特殊出生率は,74年以降人口置換水準である2強を下回って推移しており,人口減少は自明であったはずである。急激な高齢化進展と合わせて,対応の遅れにまずさがあったといえるだろう。
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2 人口推計は,国などの中長期的な制度設計のための前提条件として重視されているが,常に下振れる傾向にあり,年金財政などの頻繁な制度変更が特に若年層の不信感を高めてきた。最近では,晩婚化・非婚化の進展に加え,最近では結婚した女性の出産数も減少する傾向になっており,日本の総人口は中長期的に減少することは不可避である。
3 産業革命以降の近代経済成長には,労働力や資本ストックなど生産要素の増加率以上の成長率を達成してきたことに特徴がある。つまり,生産性向上がカギを握ってきた。今後の日本では,30歳代女性や高齢者の労働力率の引上げなどで労働力人口の減少を食い止める努力も必要であるが,米国の7割程度しかない労働生産性を向上させる努力も必要である。
4 政府は出生率引上げに向けて様々な施策を実施してきたが,合計特殊出生率が2強まで回復する可能性は低く,人口減少に対応しうる経済社会システムを早急に構築することが求められている。今後,近隣アジア諸国でも急速に少子高齢化が進展し,人口減少へと突入する可能性があるが,先行事例として日本の経験が生かされることになるだろう。 - 刊行年月日
- 2007年08月01日
- 著者/
研究者紹介 -
南 武志 (ミナミ タケシ) :調査第二部 主任研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2007年08月号 第60巻 第8号 通巻738号 2 ~ 12ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内経済
- キーワード
- 少子化,経済成長,生産性向上
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1946.html