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論題:農業協同組合の新たな位置づけについて

07.12.01[ 更新10.09.03 ]

タイトル
農業協同組合の新たな位置づけについて
要旨

1 我が国の農協制度は,基本的には職能主義的位置づけがなされてきた。しかし今後は,①農業のみならず,地域としての「農村」を支えるという視点が重要となっていること,②農業・農村を支えるための国民的合意を得る上で,農協のあり方もより広く社会性をもったものとなることが必要であること,③農民自体の構造変化,新たな形態の農業経営体の出現等により農協の「コーディネート機能」の重要性が増していること,等からより広く公益性を有する組織として位置づけていくことが必要になっている。
2 「農業者のために」という基本的役割を変化させることなく,また一方において農協の存在の公益性を訴えていくためには,農業および協同組合の国民経済的位置づけを明確にしていく必要があり,その枠組みを与える概念として,「社会的共通資本」「社会的経済」という考え方が大きな意味を持つ。両者は現代の「市場機能万能論」に対する批判的な視点を共有している。
3 「社会的共通資本」とは,自然環境,医療,教育,等,国民が人間らしい生活を営む上で不可欠の社会的装置について,国家による官僚的管理,市場による功利主義的管理の両者を排除し,より社会的な管理を主張する考え方で,「農村」も重要な社会的共通資本として位置づけられる。
4 「社会的経済」とは,公的セクター,市場セクターのいずれにも属さない経済主体を包括的にとらえ,国家経済の枠組みにおける第三のセクターとして,その現代社会における役割を積極的に評価しようとする考え方であり,協同組合は,その主要な部分を構成する。
5 農協は,こうした概念の交差する場所に位置し,「『社会的共通資本』である農業(農村)の発展を目的とした『社会的経済』組織」として位置づけることが可能である。こうした位置づけ自体が,ただちに農協の現在のあり方を見直すことにつながるものではないが,①その公益性をより積極的に主張し,②趣旨に賛同するより広い参加者の運動とすることが可能となる等,将来の方向性に大きな意味をもつ。
6 そうした位置づけが浸透していくためには,一方で,市場機能万能論に代わる,新たな経済学のパラダイムが形成されていくことが必要であるが,より重要な点は,日常の農協の活動の実践を通じ,その社会的な性格が広く認識されていくことであろう。

刊行年月日
2007年12月01日
著者/
研究者紹介
原   弘平 (ハラ コウヘイ) 役員・理事長・顧問・理事研究員 等   常務取締役
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2007年12月号 第60巻 第12号 通巻742号  13 ~ 23ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2007/12/
第一分野
(大区分):協同組合・組合金融・地域  (詳細区分):農協
キーワード
社会的経済,社会的共通資本,協同組合
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0712re2.pdf  75.6KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1974.html