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書誌情報

論題:農業情勢の展望-新たな農業政策の展開と系統組織の役割-

10.01.01[ 更新10.09.06 ]

タイトル
農業情勢の展望-新たな農業政策の展開と系統組織の役割-
要旨

1 民主党政権の誕生により,わが国農業政策および政策決定のプロセスには大きな変化が
生じることが予想される。それらは,今後の系統組織の農業政策への係わり方に関しても
少なからぬ影響を与えるものであろう。
2 全体的な民主党の政策体系は,反自民的性格を強く打ち出すことにより,結果として反
「新自由主義」的性格を強く示すものとなっている。ただし,本来の同党の基本政策姿勢
は市場主義的・構造改革的性格を強く有するものであり,農業政策の分野においても,社
会政策的性格の強い反面,その対策として市場機能の活用に重点が置かれるなど,両者の
性格の混在が見られる。
3 今後民主党の農業政策が本格的に展開されていく過程で懸念される問題としては①政策
手段として想定されている市場主義的スタンスの妥当性(実務的な対応の難しさに加え,地域
自治の観点からも地方分権,地域的な共同活動の支援等に,より重点を置く必要があること),
②安定的な財源確保の難しさ(戸別所得補償制度への予算の集中化,負担の明示化に伴い,政策
の妥当性に関しての国民的理解に向けての継続的な努力を要する),といった点があげられよう。
4 政策内容とともに大きな変化が生じたのが政策形成過程である。このことは従来わが国
の農業政策形成過程で大きな役割を果たしてきた「農業コーポラティズム(団体統合主義)」
(農業行政と農業団体との調整・提携関係によって農業政策を決定していく枠組み)にも大きな影
響を与えるものである。
5 わが国における「農業コーポラティズム」は終戦後,農協が食糧の安定的生産・確保と
その公平な供給を目的とした統制団体として機能していた完全な制度化された状態から,
食管法の廃止を契機に大きく変容し,その後構造改革,市場開放に対する立場の相違から
鋭く対立する局面も見られたが,そのなかでも協調可能な部分を模索する,といった努力
は続けられてきた。
6 今回の政権交代が「農業コーポラティズム」に与える影響は,政策内容の変化(価格支持
→直接支払い)による部分も想定し得るが,それ以上に決定的であるのが,民主党による
「政治主導」の姿勢である。政治主導の政策決定過程は,果たして政治家がどれほど現場
の声を吸い上げるパイプを有しているかが大きな問題となろう。
7 こうした変化のなかで,系統組織が今後重点を置くべき点は以下のような方向ではない
であろうか。
① 現場の政策形成過程である地方公共団体との提携・協力関係を強め,地域農業の発展
への積極的関与を行うことにより,いわば「分散型農業コーポラティズム」を形成して
いくこと。
② 大規模農業者(法人),地域流通業者,食品加工業者,地域住民等との間にも良好な関
係を構築し,地域の農業関係者を包含する地域農業管理者的役割を農協が担っていくよ
うな位置づけを目指していくこと。

刊行年月日
2010年01月01日
著者/
研究者紹介
原   弘平 (ハラ コウヘイ) 役員・理事長・顧問・理事研究員 等   常務取締役
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2010年01月号 第63巻 第1号 通巻767号  2 ~ 14ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2010/01/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):国内農業
第二分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):その他
キーワード
コーポラティズム
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1001re1.pdf  81.6KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2161.html