農林中金総合研究所

自己資本比率規制が地域銀行の行動に与えた影響について実証的に検証した。
具体的には，自己資本比率席の貸出行動への影響について分析するとともに，今次金融危機で明らかにされた現行自己資本比率規制の問題点のうち検証可能と思われる銀行行動への影響についても分析した。
本稿の分析結果から，次の２点がインプリケーションとして指摘できる。
①自己資本比率規制の強化によってキャピタル・クランチ（自己資本の減少が銀行貸出を減少させる現象）が起きる可能性を排除できない。
②現在提示されているバーゼルⅡ見通し案には，導入の必要性を必ずしも確認できない内容も含まれているので，見直し案の適用にあたっては慎重な対応が求められる。