農林中金総合研究所

中国は，稲作３千万ha，生産量２億トンを誇る世界一のコメ生産国であるが，2011年の農家１戸当たりの平均経営耕地面積は約0.6haと極めて零細である。しかし近年，零細性，低収益性を嫌った都市移住や高齢化から離農も増え始め，農地集積によってこれまでよりも大規模な稲作経営体が生じつつある（農地集積率は2011年で17.8％）。
中央政府も，農業生産の規模拡大を促進することとし，その一つとして「家庭農場」という経営形態を認知して位置付け，現在，全国33地域，6,670か所で試行，推進されている。筆者は，内陸部の広西省（自発的）と，上海（政府推進型）の事例を調査した。離農者の雇用吸収，高額地代等の生活保障がなければ農地集積は進まない。２事例の地代水準は高く，借り手の経営体は，前者は規模で，後者は補助金でそれを吸収していた。今後の動向が注目される。