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書誌情報

論題:農地の有効利用と農協の役割

10.04.30[ 更新10.09.06 ]

タイトル
農地の有効利用と農協の役割
要旨

1 ピーク時600万haを超えていた日本の耕地面積は現在460万haとなり,ペースは落ちているものの農外転用と耕作放棄を主な要因とする減少は続いている。そして,昭和一けた世代の農業者のリタイアが進行するなか,農地の減少の歯止めと零細で分散している農地の利用構造の改善等を目指し09年農地法等の改正が行われた。
2 農地の有効利用の面からみると,農協は地域の零細農家の組織として出発した経緯から,個別経営は維持しながらその組織化により効率的な利用を実現することに注力してきた。一方,農協が農地利用に直接関与することは制度的な制約から進まなかったが,制度改正が進んだ1990年代以降は農地保有合理化事業を通じて賃貸借の仲介等へ取り組むケースが増え,さらに,21世紀に入ると農協自らが農地の受け皿組織を設立する動きや受け皿組織を育成・支援する動きが強まっている。
3 実際に農協が農地の有効利用に取り組んでいる事例をみると,農地保有合理化法人として農地の利用集積の仲介を担うケースや,利用集積の仲介に加え受け皿としての農協出資農業生産法人を組み合わせるケース,さらに,農協が農地の利用集積を行う法人の育成・支援に取り組むケースなど,様々な取組みがみられた。
4 これらの事例から農地の有効利用に農協が果たす役割は大きく,また,農協と生産者との関係を維持していく上でも重要な取組みであることが確認される。ただし,地域や農協ごとに取組みの濃淡がある現状を踏まえると,地域の担い手の状況,行政等関連機関との役割分担等を十分検討した上で進めていく必要があるとみられる。5 世代交代等により農地の所有構造は今後も大きな変化が予想され,農協は多様な手段を組み合わせて農地の有効利用に取り組んでいく必要があろう。しかし,農協単独での取組み,また農地の利用集積だけでは,地域農業の活性化は難しく,農地の有効利用を含むトータルの地域農業振興を行政等関連機関との連携を重視しながら進めていく必要があろう。

刊行年月日
2010年05月01日
著者/
研究者紹介
内田   多喜生 (ウチダ タキオ) : 役員・理事長・顧問・理事研究員 等   常務取締役 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2010年05月号 第63巻 第5号 通巻771号  2 ~ 16ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2010/05/
第一分野
(大区分):協同組合・組合金融・地域  (詳細区分):農協
第二分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):国内農業
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1005re1.pdf  97.1KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2.html