書誌情報
論題:合併農協の到達点と課題-大規模化した組織を生かすために-
08.06.01[ 更新10.09.06 ]
- タイトル
- 合併農協の到達点と課題-大規模化した組織を生かすために-
- 要旨
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1 ピーク時には1万3千組合を超えた農協は,一貫して合併に取り組んできた。かつては,おおむね市町村区域に合わせて組織されていたが,現在では1農協の管内に2.7市町村が含まれ,平均した組合員数も1万人を超える大規模な組織になった。
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2 合併はそれ自身が目的なのではなく,農協がよくなるための手段である。合併を生かして効果を発揮するための取組みが不可欠である。農協の合併効果は,事業面の効果としては専門性の発揮,スケールメリットの発揮,合理化・効率化,マネジメントの強化,の4点があげられる。また,この他の効果として,組織・事業要件を充足できるようになるという意味での制度面の効果がある。
3 農協が合併したことによるメリットは,専門的な事業体制を築いたり,組織・機構の合理化を図る等において,ある程度実現されていることは事実である。しかし一方では,組合員とのつながりが疎遠化するとの指摘もあるし,農協が改革を行おうとする場合に組合員の反対に直面することも少なくない。このため,合併効果が十分に発揮できているかどうか,明瞭でない場合が少なくないし,多くの農協では,まだまだ効果発揮のための余地が大きいのが現実だと思われる。
4 JAおちいまばり,JA紀南,JAとぴあ浜松,JA北信州みゆきにおける取組事例を紹介する。それぞれの農協は,置かれた条件は異なるが,積極的に合併を生かす努力を積み上げてきている。それは,長い時間と労力を要するものであるが,その成果は,合併にはメリットがあることを明瞭に示している。
5 合併を生かすには長い努力が求められ,全国の大型農協にとって,それは今も現在進行形の課題である。また,組合員の高齢化や農村地域経済の弱体化が進むなかで,これに対応するさらに新しい発想と実践が求められている。 - 刊行年月日
- 2008年06月01日
- 著者/
研究者紹介 -
石田 信隆 (イシダ ノブタカ) : 理事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2008年06月号 第61巻 第6号 通巻748号 30 ~ 43ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):農協
- 第二分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):国内農業
- キーワード
- 農協合併,合併効果,大型農協,農協改革,JA改革,組織整備
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2020.html