農林中金総合研究所

大震災から2013年3月11日で丸2年が経過する。現地では，各種の公的施策やＪＡグループをはじめとする農業関連団体，民間のボランティア等の支援，そしてなによりも被災された方々自身の努力により，一定の復旧がみられている。しかし，いまだ被災地の復旧・復興は道半ばであり，大震災前の生活や営農活動の回復にはほど遠い状況である。
筆者は，本誌12年3月号において，｢大震災からの農業復旧・復興へ向けた農協の取組みについて｣として，大震災から1年後の農業復興の状況と農協の取組みについてとりまとめを行った。本稿では，その後の被災地の農業復興への取組みを，公表資料・新聞記事，農協・行政機関への聞き取り調査等を交えながら，主に12年以降の施策の動きについて振り返るとともに，今後の課題について検討するものである。
なお，復旧・復興への取組みは，多岐にわたるが，本稿では，津波被害の大きかった岩手県，宮城県の沿岸市町村及びそれら市町村を管内とする農協の取組み等について，とりまとめている。また，復旧・復興のための取組みは膨大であり，本稿で取り上げている事例はごく一部であることに留意されたい。なお，放射能被害の大きい福島県については，本3月号内の別稿で論考が加えられている。