書誌情報
論題:信用組合における預かり資産業務等への取組み
13.07.31[ 更新13.07.31 ]
- タイトル
- 信用組合における預かり資産業務等への取組み
- 要旨
-
1 信用組合業界はこれまで預かり資産業務に慎重な姿勢を見せており,投資信託販売を「本業ではない」と一蹴する声もあった。しかし,そのなかでも少数ではあるが,預かり資産という新たな業務に取り組んだ組合もある。本稿は, 5 つの信用組合のヒアリング取材をもとに信組における預かり資産業務の特徴をまとめたものである。
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2 信組の預かり資産業務への対応は,地域や顧客特性によって大きく異なっている。なかには証券会社出身者を資産運用アドバイザーとして採用し,預かり資産業務のスキルアップを図った組合もあるが,各組合とも「積極的な販売スタンスではない」という方針であった。また,ヒアリング取材を行った多くの信組は,メガバンクや地銀等のように営業店に投資型金融商品の専坦者を配置し,預かり資産業務における収益性を追求するのではなく,あくまでも総合的な金融サービスの一環として預かり資産業務を捉えている点も大きな特徴であった。
3 ヒアリング取材を行ったすべての信組は,前述のように積極的な販売を行っていなかったことに加え,①購入者を投資経験者に限定している,②購入金額に関係なくすべての顧客宅を数か月に一度訪問している,といった共通点もみられた。そのため「リーマン・ショック」による投資信託基準価額の大幅下落の際も顧客から「苦情らしい苦情」はなかった。
4 いわゆる金融ビッグバン構想以降,金融機関店舗における「ワンストップショッピング化」が急速に進展し,各金融機関は新たな収益の柱として預かり資産業務を積極的に推進してきた。昨今では少額投資非課税制度(NISA)の開始(2014年1 月)を控え,大手金融機関や証券会社では「NISA口座」獲得競争が加速している。同制度が起爆剤となり,投資型金融商品への関心はますます高まると考えられるが,その一方で投資型金融商品販売を巡るトラブルの増加も懸念される。このような状況のなか,預かり資産業務を残高や販売額にのみ主眼を置くのではなく,きめ細やかな顧客対応等に配慮したあり方についての議論も求められる。 - 刊行年月日
- 2013年08月01日
- 著者/
研究者紹介 -
古江 晋也 (フルエ シンヤ) :調査第一部 主事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2013年08月号 第66巻 第8号 通巻810号 2 ~ 10ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- キーワード
- 信用組合,預かり資産業務,投資信託
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/4860.html