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書誌情報

食材礼讃

21.03.30[ 更新21.05.06 ]

タイトル
食材礼讃
要旨

今日の日本の農水産業は、生産者の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加などさまざまな課題があります。なかでも食料自給率の低下は深刻であり、1965年度は73%でしたが、2000年度以降は40%前後で推移しています。この背景には多くの要因が考えられますが、戦後に米国が余剰小麦などを処分するため積極的に日本へ輸出し、「パン給食」などが推進されたことや、1960年以降に農産物の輸入自由化が進められたことは大きなターニングポイントとなりました。

また水産業だけでも、200海里水域が設定されたことや、円高が進行したことが魚介類の自給率の低下(現在は約60%)に拍車をかけました。さらに1990年代からは新自由主義的な発想がもてはやされ、異なる考え方が排除される一方、いわゆる「規制改革」「構造改革」が進められました。その結果、国民の所得格差が広がり、生活を維持していくために「低価格であること」を最優先する世帯が増加するようになりました。

しかしそのような逆境のなかにあっても、高品質な国産食材を生産し続ける人々と、その人々を支え続ける組織があります。そこで本書は、わが国で食材を生産することの意義や苦労、そして生産し続けることが地域経済や文化を守り続けることにほかならないことを、多くの読者に理解してもらうため、18品目の食材と沿岸漁業における資源管理をケーススタディ形式にまとめました。

具体的には、農産物を中心とした「大地の恵み編」では、姿を消しつつあった伝統野菜の復活(第1章・江戸東京野菜、第2章・日野町の日野菜)、消費者が安心する高品質な野菜づくり(第3章・田原市産ブロッコリー)、生産者の所得向上をめざした農産物のブランディング(第4章・丹波篠山黒豆)、日本農業遺産に登録されたみかんづくり(第5章・しもつみかん)、乳牛の健康状態を良好に保つことでおいしさを追及した牛乳づくり(第6章・東京牛乳、第7章・大山乳業の白バラ牛乳)、耕作放棄地の利活用による茶の栽培(第8章・松崎町の桑の葉茶)の事例を取り上げました。

そして水産物を中心とした「大海の恵み編」では、限られた資源を大切に活かす天然魚のブランド構築(第9章・稲取キンメ、第10章・松輪サバ、第11章・平塚のシイラ、第12章・答志島トロさわら、第17章・越前がに、第18章・佐島の地だこ)、震災や赤潮などの被害を乗り越えた魚類養殖(第13章・みやぎサーモン、第14章・ひけた鰤)、試行錯誤を繰り返し、新たな特産品を創出した貝類養殖(第15章・房州黒あわび、第16章・丹後とり貝)をまとめました。また最近では水産資源の資源管理が議論されていますが、漁業者はどのように限りある水産資源を管理しているかについても補論で取り上げました。

目次・表紙
食材礼讃
はじめに

大地の恵み編
第1章  江戸東京野菜
第2章  日野町の日野菜
第3章  田原市産ブロッコリー
第4章  丹波篠山黒豆
第5章  しもつみかん
第6章  東京牛乳
第7章  大山乳業の白バラ牛乳
第8章  松崎町の桑の葉茶

大海の恵み編
第9章  稲取キンメ
第10章 松輪サバ
第11章 平塚のシイラ
第12章 答志島トロさわら
第13章 みやぎサーモン
第14章 ひけた鰤
第15章 房州黒あわび
第16章 丹後とり貝
第17章 越前がに
第18章 佐島の地だこ
補論   外房キンメダイの資源管理

おわりに
刊行年月日
2021年03月15日
著者/
研究者紹介
古江   晋也 (フルエ シンヤ) : リサーチ&ソリューション第2部   主任研究員 研究員紹介を見る
田口   さつき (タグチ サツキ) : リサーチ&ソリューション第2部   主任研究員 研究員紹介を見る
出版地
東京
出版者・
発行元
全国共同出版株式会社
形態(サイズ、
ページ)
A5判・208頁
入手条件・
価格
定価2,250円(税別)
掲載媒体
『書籍』
2021年03月15日号
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  
(詳細区分):食品・フードシステム
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/publication/books/8371.html