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論題:金融市場の構造変化と金融政策の展望

05.08.01[ 更新10.09.03 ]

タイトル
金融市場の構造変化と金融政策の展望
要旨

1 90年代後半から高まっていた金融システム不安の原因となった不良債権も,メガバンクに関しては処理が大きく進展し,不安もおおむね解消される方向に向かっている。これに加え,金融機関の破綻処理・破綻前処理(救済)に関する法制度も整備されたこともあり,日銀による量的緩和政策も事前に想定されていた役割を終えた,との指摘も出始めている。
2 一方,不良債権問題解決の真のゴールとは,常に発生する可能性がある不良債権からの影響を受けにくい銀行経営を確立することであるが,それが実現できているとは言いがたい面がある。企業価値向上を通じた本源的資本の充実が求められるが,それと同時に薄い貸出利ざやの原因と考えられる(銀行セクターが抱えこんでいる資金が過剰であるがゆえに過当競争が発生しているという意味で)オーバーバンキングの解消も必要である。
3 他方,民間部門での予備的動機に基づく流動性保有ニーズも減退し,永らく下落傾向が続いていた信用乗数にも下げ止まりが観察されるようになってきた。企業部門では,数年後に迫った団塊世代の大量退職を前に,人員確保の動きも始まりつつあり,人件費圧縮も困難になってきた。足元の素原材料価格上昇が最終財価格に価格転嫁ができるまではデフレ経済は持続するが,脱却時期は着実に近づいていると見られる。
4 このように,金融市場・金融政策を取り巻く環境は変化し始めており,今後の日銀の金融政策を巡って議論が高まりつつあり,その焦点は現行の日銀当座預金残高30~35兆円という目標をどのタイミングで引き下げるのかに絞られている。
5 日銀当座預金残高目標の達成自体は,「デフレ脱却」という「最終目標」に向けた単なる「手段」であり,これ自体を達成することに日銀の限りある資源を割くべきではない。また,日銀があいまいな姿勢を続けると,デフレ脱却実現前に期待先行で金利上昇が起きた場合に弊害が生じる。出口政策に向けて,「マーケットとの対話」を積極的に行う必要がある。

刊行年月日
2005年08月01日
著者/
研究者紹介
南   武志 (ミナミ タケシ) リサーチ&ソリューション第1部 役員・理事長・顧問・理事研究員 等   理事研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2005年08月号 第58巻 第8号 通巻714号  53 ~ 63ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2005/08/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内経済
キーワード
デフレ,日銀,量的緩和政策,金融政策,オーバーバンキング
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0508re5.pdf  95.6KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1753.html