書誌情報
論題:フランスにおける連帯ファイナンス
06.03.01[ 更新10.09.03 ]
- タイトル
- フランスにおける連帯ファイナンス
- 要旨
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連帯ファイナンスとは,金融面での利益と同様に,社会的な利益を求める組織による資金供給をさす。フランスにおいては,1970年代から80年代の間に増大した失業者の雇用創出のための活動のなかで,連帯ファイナンスの先駆的なイニシアティブが登場した。
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連帯ファイナンス専門に活動する組織(連帯ファイナンス機関)は,協同組合やアソシエーションなど様々な法的形態をとるが,おもな資金供給先は,①長期的な失業者等困難な状況にある人の就業支援や雇用創出,②経済的,社会的な問題で住宅を見つけることが困難な人たちへの住宅の提供,③有機農業,環境,文化等に関連するプロジェクト,④発展途上国におけるプロジェクトの4つである。フランスでは銀行免許の取得が困難であるため,連帯ファイナンス機関は一般の銀行と提携して業務を行うことが多い。
連帯ファイナンスに携わる組織の多くは,フィナンソル(FINANSOL)というアソシエーションに加盟している。フィナンソルは97年に一般の金融商品から連帯のための貯蓄商品を区別するため,連帯貯蓄商品の認定制度を作った。連帯貯蓄商品として認定されるためには,総額の10%以上を連帯プロジェクトに融資するか,あるいは預金金利や配当などの収益の25%以上を非営利の組織に寄付すること,様々な情報を利用者に知らせることが必要である。06年1月末現在,フィナンソルが連帯貯蓄商品と認定している貯蓄商品は48商品ある。
04年末の連帯貯蓄ラベル認定商品の利用者数は約13万人,同貯蓄残高は6億1,300万ユーロであり,この資金は1万3,500人の雇用,困難な状況にある800家族のための住宅国内における428の環境や文化に関するプロジェクト,発展途上国の92万1,000件のマイクロクレジットに供給された。近年連帯貯蓄商品の利用が急増しているが,これは従業員貯蓄制度が改正されたことにより制度を通じた利用が増えたことが影響している。
フランスの連帯ファイナンスの特徴としては,フィナンソルというアソシエーションが大きな役割を発揮していること,連帯貯蓄商品の認定制度が設けられていること,連帯ファイナンス機関と既存金融機関等との提携が行われていることが挙げられる。 - 刊行年月日
- 2006年03月01日
- 著者/
研究者紹介 -
重頭 ユカリ (シゲトウ ユカリ) :調査第一部 副主任研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2006年03月号 第59巻 第3号 通巻721号 16 ~ 28ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):海外協同組織金融機関
- キーワード
- ソーシャルファイナンス,FINANSOL,ネフ,連帯貯蓄,クレディ・コーペラティフ
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1805.html