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書誌情報

論題:高齢化と家計の貯蓄率の動向

07.11.01[ 更新10.09.03 ]

タイトル
高齢化と家計の貯蓄率の動向
要旨

1 「国民経済計算」によると,わが国の家計の貯蓄率は,90年代後半には10%台であったものが,低下をたどり05年には3.0%となった。また,「家計調査」から推計した全世帯の貯蓄率(推計貯蓄率)も同様に,96年の16%から05年には11%に低下した。
2 家計の貯蓄率の低下をもたらしたのは,「貯蓄取り崩し層」である高齢無職世帯の増加という見方がある。それとともに,90年代後半から貯蓄の源泉である所得が減少したことも原因という指摘がなされている。
3 家計についてデータを分析したところ,90年代後半から所得が減少するなかでラチェット効果が働き,貯蓄が減少したことが示された。世帯主の職業別には,勤労者世帯では「世帯主の勤め先収入」減などによる貯蓄積立額減少,無職世帯では「社会保険給付」の減少などによる貯蓄取り崩し額増加という現象が生じていたとみられる。
4 一方,世帯構成においては,主に労働市場から退出した高齢者の増加により無職世帯の全世帯に占める割合が上昇してきた。ただし,このような世帯の変化のみを反映した「家計調査」データに基づく貯蓄率を推計した結果,96年の16%から05年には14%と緩やかな低下にとどまった。この結果と推計貯蓄率を比較したところ,高齢無職世帯の割合上昇による下押し効果により,家計の所得減などの他の要因の影響の方が大きかったことがわかった。
5 今後の高齢者の増加による貯蓄率の下押し効果については,緩やかではあるが,持続するとみる。所得の持ち直しなどにより06年に上昇に転じた推計貯蓄率は,再び緩やかな低下局面に入り,2015年には03~05年の水準に戻ると推測する。
6 高齢化は,世帯構成の変化だけでなく,家計の可処分所得や貯蓄行動にも影響を及ぼす可能性がある。今後の貯蓄率の動向を考える上で,賃金や公的年金制度などの動向には注意が必要である。

刊行年月日
2007年11月01日
著者/
研究者紹介
田口   さつき (タグチ サツキ) リサーチ&ソリューション第2部   主任研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2007年11月号 第60巻 第11号 通巻741号  14 ~ 23ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2007/11/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内経済
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):海外金融
キーワード
家計の貯蓄率,高齢,賃金
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0711re2.pdf  123.8KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1966.html