書誌情報
論題:高齢化の進行と金融機関
09.02.01[ 更新10.09.06 ]
- タイトル
- 高齢化の進行と金融機関
- 要旨
-
1 高齢化の進行に伴い,金融機関の経営戦略において,高齢の顧客の重要性が高まっており,年金関連のサービスなど高齢者向けの金融サービスの競争が激化している。こうした状況下,高齢の顧客と金融取引を継続していく上で,高齢者の経済的状況やニーズに基づいた適切なサービスを提供することが欠かせない。
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2 高齢者の保有する金融資産を老後の生活の資金源として捉えた場合,とりあえず,老後の生活の目処が立っていると考えられる層は,60~69歳の世帯で約4割(約408万世帯),70歳以上の世帯で約5割(約201万世帯)にとどまる。
3 「公的年金」は多くの高齢者にとって重要な収入源である。したがって,金融機関にとって年金関連のサービスを磐石にすることは,高齢者からの信頼獲得のための第一歩といえる。そのため,多くの金融機関が,年金受給口座の指定に対し,なんらかの優遇措置を講じている。また,年金の受給見込み者の囲い込みのため「年金相談」を行う金融機関が増えているが,適切な情報提供により信頼獲得につなげることが大切である。
4 なお,老後の生活資金の目処が立っている高齢者の中には資産運用に関心を持っている,あるいは潜在的に資産運用が可能な層が比較的多く,金融機関にとって資産運用サービス上の主要な顧客となっている。ただし,高齢の顧客に対しては,資産・負債の状況や老後の生活設計を十分踏まえて金融商品を販売することが重要である。また,購入後のフォローにも配慮すべきである。
5 今後,高齢化がさらに進行すると,高齢者が金融機関を利用する際に,新たな障害やトラブルなどが頻発する恐れがある。近年,バリアフリーや犯罪防止についての社会的な関心が高まり,金融機関もその取組みを進めているが,今後はさらに,認知症の顧客への対応が必要とみられる。 - 刊行年月日
- 2009年02月01日
- 著者/
研究者紹介 -
田口 さつき (タグチ サツキ) :調査第二部 主事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2009年02月号 第62巻 第2号 通巻756号 2 ~ 12ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- キーワード
- 高齢化,金融機関,年金受給,年金受給口座,認知症
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2082.html