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書誌情報

論題:持続可能な農業・地域に関する事例研究「日本の農村は持続可能である~ Rural Japan is Sustainable!」

22.06.15[ 更新23.03.03 ]

タイトル
持続可能な農業・地域に関する事例研究「日本の農村は持続可能である~ Rural Japan is Sustainable!」
要旨

〔企画趣旨〕
 日本の農林漁業と地域の持続可能性が問われている。農業の営みは経済行為にとどまらず物質循環の一環として大きな位置を占め、気候システムや生物多様性の面で重要な役割を担っていることに加え、農業が継続して行われることで我々の生活に様々な有形無形の恩恵をもたらす。国土保全、水源かん養、景観形成、文化伝承等、農村で農業生産活動が行われることで様々な価値が生み出される。我々が何気なく暮らしている日常の風景は決して自然のまま放置(放棄)した状態ではなく、長い歴史のなかで人間の手が入っていることを忘れてはならない。農村での人々の暮らしが、そこにあるのである。それが今、危機にあえいでいる。
 農林中金総合研究所では2018年に「森海川の協同組合連携勉強会」を立ち上げ、森川海といった自然環境のつながりのなかで地域と懸命に向き合いながら生きる人々をお招きし、そこから生み出される言葉に真摯に向き合うことを始めた。それを掘り起こすことに持続可能性のヒントがあると考え、一連の講演会の内容は『農林金融』(20年3月号―農林中金総合研究所設立30周年記念号―)に「〈講演録〉森海川に生きる人々のことば」として編纂しているのでご覧いただきたい。
 今回はそこから踏み出し、研究チームを組成して持続可能な農業・地域を主題に実践的なフィールドワークに取り組んだ。研究チームの組成にあたっては当研究所の研究員に加え、書籍『大地と共に心を耕せ―地域協同組合無茶々園の挑戦―』(2018年、農山漁村文化協会)の出版をはじめ長年の研究蓄積がありフィールドワークに根ざした研究には定評がある愛媛大学社会共創学部研究チームをもって構成した。
 地域では経済・環境・社会面で複雑に絡み合う困難に直面し、その実践的な課題解決のアプローチを必要としている。持続可能性を巡って世の中ではSDGsという言葉が先行しているが、翻って地域に目を向けると、地域が抱える課題はそこでの身近な暮らしに根ざしている。ここで紹介する事例研究は地域資源を活用して地域内での経済循環を進め、暮らしの中でそれぞれが当事者として取り組む意義を実感するような身近な社会問題の解決につなげている。いずれもSDGsの取組みを先取りし、SDGsへのアプローチにみられるように環境問題と地域が抱える経済、社会の問題とを同時に統合的に解決しようとしている。そこに、本報告書は持続可能性を考えるヒントを見出すものである。
 いまやSDGsは世界の「共通言語」になりつつあり、このようなフロントランナーの取組みには世界に通じる発信力がある。そこで、今回、多様な情報発信の観点から日本語に加え、日本語を母国語としない方へ英文での発信を試みている。様々なステークホルダーを包摂して地域を考える「きっかけ」となれば幸いである。

刊行年月日
2022年06月15日
著者/
研究者紹介
香月   敏孝 (カツキ トシタカ) :愛媛大学   名誉教授
山藤   篤 (ヤマフジ アツシ) :愛媛大学 社会共創学部   講師
村田   武 (ムラタ タケシ) :九州大学   名誉教授
田口   さつき (タグチ サツキ) : リサーチ&ソリューション第2部   主任研究員 研究員紹介を見る
河原林   孝由基 (カワラバヤシ タカユキ) : リサーチ&ソリューション第2部   主席研究員 研究員紹介を見る
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):国内農業
掲載媒体
『総研レポート』
2022年06月
キーワード
持続可能な農業・地域,内発的発展,FEC自給圏,農福連携,再生可能エネルギー,SDGs
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/skrepo/pdf/sr220615.pdf  2.7MB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/publication/soken/contents/8932.html