農林中金総合研究所

当研究所による「2020年度漁協アンケート調査」は、全国全ての沿海地区出資漁協を対象として、①製氷・貯氷事業、②異業種企業の漁業参入、③漁協経営の多角化、④大型定置網漁業とのかかわり、という４つのテーマにつき、それぞれ現状・経過・将来展望等を把握する目的で行われた。いずれも、組合員の減少・高齢化が進行するなかで、漁協経営として何らかの対応が求められており、また先進的な対応が見られつつあるテーマであることから調査課題として設定した。各テーマの調査結果および詳細な分析内容については、本号尾中および亀岡論文ならびに総研レポート『2020年度漁協アンケート調査結果』を参照いただくこととしたいが、本稿では、これらの各論部分の共通の前提となる組合員の高齢化・後継者確保状況に関する結果につき整理する。また、本アンケート調査では、調査票の最後に「漁業や漁協経営における課題、その他現在ご関心のある事柄等について」として自由記入欄を設け、広く意見を募った。水揚量の減少、新型コロナウイルスの影響といった現下の漁協経営を取り巻く諸事象に対する漁協職員の生の認識の一端が垣間見えるものとなっているため、新しい分析を付加したうえで、内容を要約し、提示することとする。また、全体を通じて、アンケート結果の理解を促すため、アンケート結果以外の情報を部分的に用いた。